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日産純正マッハ・ステアリング・レプリカ

ボス・ホーンボタン等全て付属   完売しました。



販売終了後10年経過します。相変わらず根強い人気が有り、現在でも問合せを多数頂いております。
個々の部品など全て譲渡してしまいましたので、お問い合わせを頂いても期待に副える回答は出来ない状況です。

未組み立てで譲渡した5本のステアリングも、行方不明になった物が多く、ボスだけ使われたのでは? と思われます。

10年以上経過したにも拘らず、未だ補修に戻って来たステアリングは一本もありません。

10年経過を機会に一度、リフレッシュを提案したいと思います。




日産純正マッハ・ステアリングとは、昭和44年11月、フェアレディZ(型式・S30,PS30)がデビューした時、
よりスポーティさを強調するステアリングとして、
標準のウッド・ステアリング48400-E4100に対し、オプション扱いされた革巻きステアリング48400-E4110が、
「日産純正」のマッハ・ステアリングである。


 日産自動車が純正指定したマッハ・ステアリングは衰える事を知らない人気があり、そのデザインは現代感覚でステアリングを見ても非常に素晴らしいシルエットを持っている。。
 当時の正確な価格は把握していないが、市販品マッハ(同形品) が定価1万5千円で、その頃の大卒の初任給が1万円程度の時代である。現代的な価格換算をすれば市販品のマッハですら実に約 30万円近い金額と言うことになってしまうのである。
 純正部品としてのマッハ・ステアリングの場合にはどうだろうか? およそであるが、当時の金額で4万円に近い3万円代後半だったと思う。(当然だが、ボス等が付いたアッセンブリーである。)
 30数年経過した今日、現存する当時物のマッハ・ステアリングを購入したいと考えれば、現代の取引の場において使い古しの中古品で約15〜20万円(アッセンブリー) もするのだ。

 価格的なものは別にして、その当時物のコンディションは、ステアリング脱着時に粗雑に扱われアルミ製スポークに歪みが生じている物が多く、当然のこと30数年前に革巻きされ、擦り切れた革の状態なのだ。それにも関わらず購入希望の愛好家が探すと言う、とても信じ難いものなのである。
 さて、そんなプレミア付きのステアリングなのだが、その機能面について言及すると、現代の道路事情を考慮しつつタイヤ事情等を加味して考えれた時、とても実用的に日常使用出来るものでは無い。明らかに強度的な不足がある事が明白で、このステアリングを使用して車を走らせているオーナーは命知らずの「知らぬは仏」の世界なのである。
 残念であるが比較の対象が無く、「それが当リ前」と解釈して車に取り付けてしまったオーナーも居り、それらのマニアぶっているオーナーは、私から言えば真のマニアと言えない人種である。それは、余りにも無知な人たちであり、自分の生命、家族の生命、最悪な場合には他人の生命にまで影響を与えかねない、配慮に欠ける人達だからである。研究する、学ぶと言う行為を自ら放棄してしまったからである。
 たぶん、平気で現代の交通事情にも使用できる人たちは、こんな反論をするだろう。「車検にはパスするから良いだろう。」と・・・。


 私が、当時物マッハに関して強度不足と断言する理由は下記のとおりである。
  1. 30数年前の規格によるアルミ合金製である。当時の規格による高力アルミニウム合金板の14S/17S(ジュラルミン)を使用しているが、その特徴から言えば、強度的には強いが耐食性に劣るアルミ材である。この当時の成分は、現代と比較すれば当然不純物も多く、酸化腐食によって強度低下は当然生じている。特に、マッハ・ステアリングの表面にはアルマイト処理がされていたが、革巻き依頼されて送られて来たマッハの多くはアルマイト層は存在しないに等しい皮膜と化し、革が巻かれて見えない部分は手の汗、脂によって侵食しアルミ特有の粉吹きが多く発生していた。
  2. ステアリングの形状から見た時、マッハのようなフラット・タイプでは、アルミ製ステアリングのスポークにかかる力に耐える強度を確保出来ないと思う。この場合の強度を測る物差しは尺度として難しいもので、ステアリング本体が進行方向に対して前後にブレる撓りの発生が一番困る。特に、走行中には何かとステアリングに対して力を無意識の内に加えており、前を走っている車が急に停車した時など追突を避ける時のステアリングへ与える腕力の数値は平常時の10倍以上になるとしても不思議ではない。革巻きの修理に入ってくるステアリングは、自動車メーカー純正のステアリングでさえ、平らなガラステーブルの上で回転させれば5o程度の歪みがあったりする。当時物マッハのそれをチェックするとほぼ100%のステアリングが3次元の歪みを生じている。また、一度大きく歪んだステアリング・ベースのアルミ板を修正したものもあり、日常の使用のなかで簡単に歪んでしまう程度の強度しか無かったことが確認出来る。

 以上の点から、30数年前に製造されたステアリングを現在の尺度で、使用するに耐えるものか? それを考えた時に危険要素は多くあるが、安心出来る要素が全く無いのだ。
 それは、パワーステアリングの無い車にとって、ドライバーが操作する腕の力をマトモに受け、タイヤの動きに伝えなけばならない。さらに、現代のタイヤが路面を捉える力が、30年前とは確実にアップしてしまっており、グリップ力の増加した部分が、全面的にステアリングの強度不足と鉢合せとなる。それらを含めると30年前の強度不足から、さらに強度の低下したステアリングを使用すると言うのは危険行為であると断言できる。



   マッハ・レプリカについて

 マッハ・ステアリングのレプリカ・モデルを作ろうと考えたのは、1997年の初めのことである。実に5名の熱狂的なファンの存在がキッカケであり、それらの人達は、私が企画のプランも全く無い白紙状態にも関わらず、ただ口だけの説明に一口乗って予約金の送金と言う、いわば投資送金をして下さった方達が居たからである。
 それだけに造る側の私としても手抜きが出来なくなった次第で、ソックリ丸ごとサイズの詳細までコピーする以外に信頼をお返しする訳には行かなくなってしまった、と言うところが本筋である。

 結局、お金を頂いてしまったからには手抜きを許されない状況となる。期待を裏切る事は出来ないからで、コピーするにも真剣勝負だ。見えなくなってしまう部分と改善しなくてはならない部分、そして、現代風にアレンジしなければならない部分を除く他の部分は、当時物を忠実に採寸して再現することにした。

 当時物マッハとレプリカの違い、変更点は下記のとおりである。
  1. ホーンの電源を拾うコンタクトリングの取り付けには加工の都合と組み立ての事情により手を加えることにした。
  2. 30年前の4o厚では明らかな強度不足な為、アルミ種類に少し粘りの強いものを選択し5o厚とした。これによって4oから5oとなった事から生じる取り回しの変更が生じた。
  3. グリップ太さが、あまりにも細くグリップを形成しているスポンジ質のゴムが柔らか過ぎた為、ナルディ・クラシック程度の太さに想定して、グリップ用硬質ゴムを特注した。グリップ太さ仕上がりサイズは27〜28Φである。


 この企画そのものは必ずしも成功ではなかった様に解釈している。販売には実に完売まで6年と言う長い時間を費やしたからだ。多くの古い日産車の愛好家の目には、とても高額なハンドルと言うイメージに映ったに違いないだろう。
 地方の見知らぬ一個人の業者が製作したハンドルである、ただマッハ・レプリカと言うそれだけでは、ステアリングの出来栄えも判らず品質も判断出来ないもので、オーダーするにも大冒険である。
 物の良し悪しを判断する事は難しい事であるが、作り手側の立場で言えば、市販のステアリングで、これ以上丁寧に作られた物は存在しない。それだけに高価になってしまったのである。
 しかし、価格の問題で購入を見送った人達には申し訳ないが、良い物を探すと言う「目利き」の努力が不足していたのだから、いつかは入手したい、と考えていた人なら購入する行動が伴わなかった、と言う「縁」が無かったのである。出来栄えに不安を持っていたのなら、北海道や九州在住の人々には、愛知まで足を運んで実際に確認して欲しい、と言ってもそれは酷な話なのだ。
 だが、現実に北海道、九州からの注文があり発送した。その「清水の舞台から飛び降りる」決意に対して、造る側のプレッシャーとして期待を裏切れないし、熱意を持って応えなくてはならない。

 実際にマッハ・レプリカを手にした時の喜びは、一般市販のmomoやナルディなどの量産ハンドルでは味わう事が出来ない感慨深い味わいであると思う。
 
 ステアリング・ホイールと言う部品を軽視して居る人、自分の殻に閉じこもっている人達には「良さ」を説明しても、全く理解すら出来ないはずだろう。小径ステアリングがレーシーに見え、小さければカッコ良いと考えている人には無駄な存在である。また、ダットサンコンペ至上主義の人達にも理解は難しいと思われる。例え、使い難いハンドルであれ、良いと思い込んでいる人には、このマッハ・レプリカの真価は理解出来ないはずである。使い易い、使い難いの判断や、運転する際のステアリングがドライバーに与える疲労度まで考える事の無い人「個人」の見解によるところである。
 ダットサンコンペと言う名前を与えられても、一度もレースシーンに登場したステアリングでは無い。実際に使い難いステアリングだったからである。そんなダットサンコンペの特徴として、パワーステアリングの付かない車には小径過ぎて実用性に乏しく、ステアリングのグリップの陰になりメーターが見えない、素手でドライブするのが好きな人には手汗によってステアリングの操作時に滑る。そんな悪い要素があってもそれで甘んじる、それが当然と考える人には車趣味の世界に大きな成長は無い。それは真価や自分自身の為に安全性考え、更なる物を求めて追求する事が無いからである。

 それらの人が更なる物を求める行動に発展する事があれば、近い将来には私の製作した「日産純正マッハ・ステアリング・レプリカ」が平成のマッハ・ステアリングとして、プレミア付きの価格になって取引されるような現象が見られると思う次第である。


                 


                 
  

 

マッハ・ステアリング・レプリカ 製造経緯 (平15年12月現在 全22本)

製 造 番 号 発  送  先 製 造 年   備    考
  #97439   北海道  2003 試作/特別仕立て
   97438   長野県  1997            
   97437   新潟県  1997            
   97436   東京都  1997            
   97435   愛媛県  1997            
   97434   茨城県  1997            
   97433   東京都  1997 業販
   97432   石川県  1997            
   97431   東京都  1997 業販
   97430   愛知県  1997            
   98429   広島県  1998            
   98428   埼玉県  2000   特別仕立て
   99427   東京都  1999   業販  
   01426   山口県  2001            
   01425   長野県  2001            
   02424   東京都  2002 業販
   03423   東京都  2003 業販
   03422   熊本県  2003            
   03421  神奈川県  2003            
   03420   東京都  2003            
   03419   東京都  2003 業販
 03418 石川県 2003 現在製造中

平成15年12月現在…強度テストにて破壊 4本、所有権移転分・未組み立て 5本
合計本数…試作 #97439を含め全 31本にて終了。ご声援ありがとうございました。

【平成25年2月の近況】 未組み立て5本に関して、10年経過して所有者から仕上げ依頼が1本も無い。
関東地方へ4本、中国地方へ1本発送し、所有者が変ってしまった物もあると言う情報が届きました。

  


近況追加 Feb. 12,2013
一部画像追加 Oct. 6, 2010
Dec. 1, 2003

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